世界をリードする環境技術で、持続可能な未来を共に築く

クリヤマホールディングス 
吉住理
クリヤマグループの「産業資材セグメント」の役員として将来の事業計画や目標設定を行う。クリヤマジャパンでの営業職を経て、2015年に株式会社サンエーへ出向し尿素水品質センサー事業に携わる。現在はクリヤマホールディングス株式会社の執行役員、クリヤマジャパン株式会社の取締役、株式会社サンエーの取締役社長、そしてクリヤマR&D株式会社の取締役を兼任。

株式会社サンエーとのコラボレーションで新たな価値創造を図る

ークリヤマジャパン株式会社と株式会社サンエーの関係について教えてください。

私がクリヤマジャパンで営業をしていた2012年に、社会的に排気ガス規制の強化が始まり、尿素SCRシステムが自動車・トラック・農機建機に搭載されることになりました。クリヤマジャパンが扱うタンクと一緒に、サンエーのセンサーを販売する計画を作ったことがきっかけで、サンエーとの協業がはじまっています。

その後、尿素水品質センサーや各種品質センサーの開発・製造・販売を見越し、2015年にM&Aでサンエーはクリヤマグループ内に入り、私自身は当時からサンエーに出向していますので、関わりは今年で丸9年となります。

ー株式会社サンエーとはどういう会社なのでしょうか?

尿素水品質センサーという特殊なセンサーの専業会社です。熱で濃度を計測する方式の特許を世界で唯一弊社が保有しており、国内では、我が社のみ。世界においても2社ほどしか競合先がいないというオンリーワンビジネスをしています。

ーそれに対し、クリヤマR&D株式会社とはどういう会社でしょうか?

クリヤマR&Dの前身は山口県にあった株式会社クリヤマ技術研究所になります。クリヤマグループの技術的な強化を目的とし、創業者である栗山芳雄さんが1996年に創業した会社です。それを今年リニューアルする形で、「クリヤマR&D株式会社」という名で再スタートしたのです。

ー株式会社クリヤマ技術研究所がクリヤマR&D株式会社としてリニューアルに至った背景を教えてください

クリヤマ技術研究所は、約30年かけて、クリヤマグループの技術レベルの底上げ、強化としては一定の成果を残してきました。尿素水品質センサーのタンクシステムを立ち上げる際には、さまざまな素材の検証や振動試験を行い、高い耐性レベルを実現したのもクリヤマ技術研究所の功績です。産業事業においては、輸入品のゴムホース事業において、機能確認など重要な役割を果たしてきました。スポーツ・建設資材事業においては、開発の中心を担い、近年注力してきたオリジナル製品を市場に投入してきました。

世の中に提供しているクリヤマ製品の技術の基礎は、クリヤマ技術研究所と共に築きあげてきたものと言っても過言ではありませんが、役割としては「作ったものを検証するための機関」としての意味合いを大きく持っていました。

今回のリニューアルにあたっては、これまでの力をさらに飛躍させ、クリヤマグループ全体としてグローバルに付加価値のあるものを生み出すための研究開発を強化することを強く意図しています。

ーグローバル、イノベーションを強く意識されていますが、現在の課題感は?

サンエーに出向して実感したことですが、イノベーティブなものを生み出すためにはデザイン力(商品をゼロから作り出す力)が要るのです。モノをただ図面上で描く力だけではなく、製品の構造を一つひとつ設計し、組み立て、検証しながら進めていく力が必要不可欠なのですが、その構造的なデザイン技能がクリヤマ技術研究所では少し弱かったと考えています。

一方、サンエーという会社はオリジナルブランド製品メーカーです。サンエーは、もともとは大手電機メーカーの製品を、依頼された通りに作るという製造受託型の業態を取っていました。今は尿素水品質センサーというオリジナルブランドを作る会社に変わっています。それがなぜ実現できたかというと、まさにデザイン力を身に着けたからなのです。

今後の事業成長を考えたとき、クリヤマ技術研究所の高い検証能力に、サンエーのデザイン力をミックスすることで、創業者がイメージした研究所に近いものができるのではないかと考えています。デザイン機能を有した新しい開発研究会社を作るための第一歩ですね。

ー株式会社サンエーが有しているデザイン力とはどのようなものなのでしょうか?

まず、製品を形に落とし込んでいくための構造設計の力があります。高度な構造設計技術はある程度キャリアを積まなければ身につきませんが、その経験とスキルを持ったスタッフをサンエーは有しています。

二つ目は、センサーの基幹部品である回路の設計です。

三つ目は、生産装置の設計力。製品を生産する装置本体のデザインです。

そして四つ目はソフトウェア設計の力です。センサーや装置の中にはソフトウェアが入っていますが、それらの動き方を理解しながらソフトウェアを作る力です。

ー入社してくる人に「デザイン」力をどの程度求めるのでしょうか?

現在のメンバーは大手にいたキャリア採用の方も多いので、前職で身につけた技術を十分に活用できるフィールドだと思います。新卒の方については、経験がないことが大前提ですのでご心配頂かなくて良いと思います。入社すれば、クリヤマグループに関わる様々な製品を作りだす機会が多くあり、速いテンポで必要なデザイン力を身につける成長が期待できます。それぞれの前職キャリアや学部で学んできたことを良い形でクリヤマグループとして吸収しながら、デザイン力を一緒に伸ばしていきたいと考えています。

ークリヤマR&D株式会社と株式会社サンエーは今後どういった役割分担になっていくのでしょうか?

今は、様々なコラボレーションの種を育てる時期だと考えています。サンエーはゼロから製品を生み出すタイプの会社ですので、その機能と人財をクリヤマR&Dと共有しながら、クリヤマの他事業にも展開するというイメージを描いています。

世界に通用する技術と環境が成長への鍵

ー人財育成に関わる取り組みについて教えてください

サンエーにおいて人財育成は大きなテーマです。2015年にM&Aを実施した時はベンチャー企業体だったので、業務機会の中でOJTを中心に人財育成を行なっていました。2019年に黒字転換してからは新入社員も安定的に入ってくるようになり、育成のための取り組みも広がっています。私たちの技術は世界でもオンリーワンのものなので、育成ツールの整備から着手してきました。

サンエーの特殊技術がどういったもので、どのように動かしていくものなのか、全技術者にできる限り深く伝えました。そして、既存の技術習得だけでなく、新たな製品開発ができるエンジニアの育成体系の整備も進めています。

ー世界に通用する技術で、新しいことに挑戦できるのは貴重な環境ですね。

実は今、サンエーにおいて、新しいセンサーを作っている最中なのですが、これこそOJTの最たる機会です。新規商品を生み出す時、技術者の方はスポンジのように吸収します。新規開発のプロセスに触れると、かなり多くの領域のことが短期間で頭に入ると言う方もいます。そういった機会を利用して若手を現場の最前線で鍛えていく。そうすると基礎力は必ずついてくると信じています。

ークリヤマグループが持っている国内外のビジネス環境、製品、情報を組み合わせれば株式会社サンエーの培ってきた技術をもっと社会に提供する事ができる。そのチャンスを作る場としてクリヤマR&D株式会社があるということですね。

その通りです。各事業会社の役割を繋ぎ、サポートをする機関にしたいというのが、今回リニューアルした一番のコンセプトです。

ーサンエーの新しい事業を展開していくうえで、どんな人に入社してほしいですか?

私たちがやっている事業はかなり専門性の高い領域です。薄膜、回路、ソフトウェア、そして構造設計…、それぞれのレベルが高いので、新卒の方はかなり早い段階で大学での学びを活かせます。自分の活躍領域を早めに、かつ広く取りたい方、そしてチャレンジ思考を持った方にはぴったりな環境だと思います。

ーキャリア採用の方はどうですか?

転職者も同様です。例えば薄膜技術というのはニッチな領域のものですが、その発展線上で自分のキャリアを生かしたいという方や、次世代の技術開発に興味のある方にはうってつけの環境です。キャリアの方にも魅力ある領域なのではないでしょうか。

ークリヤマR&D株式会社に入社(転職)された方にはどんな活躍を期待しますか?

クリヤマR&Dのメイン事業はゴムや樹脂製品の開発なので、素材系のことをやってきた方がまず興味を示されるのではないかと思います。材料や素材という分野は日本が強みである領域なので、そのあたりのバックグラウンドを持っている方とのご縁は嬉しいです。加え、グローバルな視野でビジネスをやっていきたい方にも良い環境です。グループ全体の6割近くが欧米のホース事業なので、グローバルビジネスに興味を持つ方にとっては活躍のフィールドが広がるのではないかと思います。